大使挨拶




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11月下旬、モワイヤン・オグエ州ランバレネ市に米崎JICA事務所長とともに出張し、州知事及び市長と会談するとともに、アルベルト・シュバイツァー病院、ランバレネ医学研究センター、同母子保健局、同エイズ感染症センター、水産関連施設等、日本の経済協力の被供与機関を視察し、責任者と意見交換を行いました。
シュバイツァー病院は、ドイツ人医師で牧師のアルベルト・シュバイツァー博士が1920年代に開いた病院で、現在も運営されています。シュバイツァー博士は、私や米崎所長の世代は小学校の教科書で習った人道分野の偉人です。最近はあまり教えられてないようで残念ですが、日本ともゆかりがあり、検索してみると以下のような話が出てきます。
赤痢菌を発見した志賀潔の甥の高橋功医師が、1950~60年代に8年間ほどシュバイツァー博士と活動をともにし、その経験を「シュバイツァー博士とともに」という書物に表しています。高橋夫妻が帰国時にシュバイツァー博士から贈られ持ち帰った博士の遺品が、玉川大学博物館に保存されています。また、野村実医師は、7か月間博士の活動に協力し、博士の1952年度ノーベル平和賞の授賞式に同行、「シュバイツァー博士を語る」等の書物を残しています。
最近では、日野原重明氏が講演会でシュバイツァー病院を訪ねた際の印象を語った記録や、シュバイツァー博士に励まされて医療分野を志した方のブログなどにも行き当たりました。
シュバイツァー病院は、博士が活動した当時の旧病棟と新病棟に分かれ、我が国は、新病棟向けに医療機材や救急車の供与を行うとともにJICAボランティアによる技術協力を行い、地域医療に貢献しています。一方、旧病棟の方は、博士の業績を長く後世に伝えるべく、より良く保存していく必要があると思われました。
また、ランバレネ医学研究センターでは、JICAの研究協力の一環で、長崎大学熱帯医学研究所がウィルス感染症研究プロジェクトを展開しています。今般の新型コロナウィルスの感染に際しては、ガボン政府は非常に迅速かつ適切な対応を行い、感染者数の抑制に成功していますが、そのウィルス検査において、本研究協力で供与した機材が大きな役割を果たしているということです。
このようにランバレと日本とは、シュバイツァー博士の時代から現在に至るまで、深い関係を有しています。ランバレネ市長は、是非日本と姉妹都市関係を結んで交流を深めたいと言われていましたので、本稿をお読みの方でご関心を持たれた方がいらっしゃれば、ご一報いただければと思います。
写真等当館公式フェイスブック(https://www.facebook.com/JapanEmbGabon/)に順次掲載していきますので、ご参照ください。
今年は大変な年になりましたが、ガボンの在留邦人には一人も感染者は出ず、幸いでした。来年は、JICAボランティアをはじめ現在一時退避中の邦人が復帰し、より良い年になるよう願っています。
2020年12月
駐ガボン日本国大使
野口 修二